地元の人に食べてもらいたくて~ふる里館~
気持ちの良い海岸道路沿いにあるふる里館は、創業12年目。運営を担う坂下水産は、代々ヒラマサやカンパチを養殖して市場に出していました。しかし地元の人にはヒラマサという名前が知られておらず、食べてもらうこともできません。せっかくだから、おいしく新鮮なヒラマサを、地元の人たちにも食べてほしい。そんな想いで、ふる里館を立ち上げました。
ふる里館の運営は、なんと7家族で行っています。主に旦那さんたちは漁師として魚を育てて卸し、奥さんたちはお店の販売や接客、加工品の商品開発などを担っています。立ち上げ当初は上手くやっていけるのかとても不安だったそう。しかし今では人気のお惣菜を求めておじいちゃんたちが楽しそうに来店したり、毎日魚を買いに来てくれる人もいて、地域の人に愛されたお店になっています。
「大切な人に元気でいてほしい」 さかしたキッチンの想い
ふる里館でお惣菜担当のさかしたキッチンは、とにかく食べる人の気持ちを考えており、安心、簡単調理できるようにこだわっています。そしてなんといっても、魚をたくさん食べてほしいという想いがあります。
「大切な人に元気でいてほしい。」
ふるさと館のお惣菜コーナーには、お惣菜に込められた想いが伝えられています。
毎朝一生懸命漁に出ている旦那さんたちを見ているから、大切な人に健康でいてほしい。そして、大切に育てた魚をたくさんの人に食べてほしい。
調味料以外は無添加で作られているので、お子様でも安心して食べられます。また、お惣菜に頼りたいけど手作りのものを子どもに食べさせてあげたい、というお母さん向けに、焼くだけ、揚げるだけなどひと手間をかけられるように工夫もしています。さかしたキッチンは、食べてくれる人の気持ちに寄り添えるように考え、商品をつくっているのです。
お惣菜を含め、加工品を販売するようになってすごく楽しいと話してくださったのは坂下奈津子さん(写真左)。
「人と会うことで、ワクワクをもらってる。これからどんなことをしていくか考えるのがすごく楽しいです」と話してくださったように、さかしたキッチンは色んな人との出会いで新しいことに挑戦しています。ゆっくりではあるけれど、人との出会いを大切にしながら新しいことに取り組むさかしたキッチンに、これからも注目です。
ヒラマサの名前を広めたい
10年前は、ふる里館はもちろん、ヒラマサの名前すら誰も知らなかったと教えてくださったのは、坂下水産の漁師の四男さん。ヒラマサは、今では錦江町では知らない人はいない、ブランドの魚です。
イカ漁に行く四男さん(写真左)
坂下水産が養殖しているヒラマサは、漁獲量が少なく、味がブリやカンパチよりも上品なことから高級魚と言われています。このふる里館のヒラマサをぜひ1度、食べに来てみてください。今までこんな刺身を食べたことがないほどの食感とうまみを感じられます。
締め方から捌き方まで妥協を許さない職人さん。お店の中ではモニターで刺身の減り具合を確認し、常に新鮮な刺身を提供しています。
坂下水産のヒラマサは、このヒラマサじゃないと食べられない、ここのじゃないと違う魚みたいだ、というお客さんからの声がとても多いのだそう。口コミが拡がり、町外のファンもたくさんいます。錦江町から市内へ行くときのお土産として必ず選んでもらえたり、県外にいる方が誕生日に選んでもらえたり。「お前のとこは、天然ものとの違いがわからん」と言ってくれる漁師さんもいると四男さんは話してくださいます。
漁師をずっと続けていた人たちが、自分たちのヒラマサを地元の人に食べてもらいたい。そして、地元の友人が作っている野菜もいろんな人に食べてもらいたいという思いでつくったふる里館。地道な活動によって、今ではたくさんの人にヒラマサが認知され、地元を超えて愛されています。
漁師歴はもう50年以上の四男さんですが、これからもふるさと館に新しいものを取り込みたいと、ご自身でイカ釣りに行ってお店に卸したりもしています。一時は養殖がうまくいかずに諦めかけた時もあったそうですが、「安くて本当においしいと喜んでもらえると一番やっててよかったと思う」と話してくださいました。
店内にはベルがあり、「チン!」するとお店の方がヒラマサについて教えてくださいます。お越しの際は、「チン!」してみてくださいね。
その土地で育てられたものを、その土地で食べる。そこで感じられる美味しさは、どんなおいしいものにも勝てません。
「ここに来ないと食べられない美味しさを求めて食べに来てほしい。やっぱりこっちが特別だって思ってほしいよね」と奈津子さん。
ふる里館は、わざわざ来てもらえるようなお店を目指しています。鮮度抜群でこんなにおいしく安いヒラマサは、なかなか手に入りません。錦江町にお越しの際は、ぜひふる里館へ寄ってみてください。
ふる里館へのふるさと納税はこちらから。
ヒラマサの食べ方もこちらからご覧いただけます。
取材・執筆 錦江町未来づくり専門員 馬場みなみ