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【錦江町しごと図鑑】大型トラックで愛する地元を支える。 楠元洋亮さん

錦江町しごと図鑑11人目は田代地区で運送業をされている楠元洋亮くすもとひろあきさんです。地元、田代地区にある運送会社から大型トラックの運転手として錦江町の畜産農家さんを陰ながら支えていらっしゃいます。

先輩方の背中を追って大好きなトラックに乗る

「トラックの仕事がしたかったっていうのがすごいあって。親父とかトラックに乗る先輩方の背中をずっと見ていたから、いつか自分もこの人みたいになりたいと思ってた。小さい頃からその夢だけは変わらなかったね」

高校卒業後、「2トン車に初心者マークを貼って仕事をスタート」した楠元さん。主に鹿児島県各地へ錦江町産の農畜産物を運送する仕事をされています。物流の仕事を始めたきっかけは、自営業で楠元運送をされているお父さんをはじめ地元でトラックを走らせる先輩方の存在があってこそでした。幼い頃から物流の世界が身近な環境で育ったためか、トラックや車が大好きだったそうです。

「もの心ついたときには目の前にクレーンがついたトラックだったり、豚を運送するトラックがあって。小さい頃から親父と一緒に乗って現場に連れて行ってもらってたね。俺のことをちっちゃい頃から見てる人たちは、『この子は絶対将来大型の運転手になるよ』って言ってくれてた。今も運転も積み込み作業も好きだし、クレーンの作業したりとか、本当に好き」

大好きなトラックに乗り続けて今年で10年あまり。幼い頃から追い続けている先輩方の背中を今でもまっすぐ見つめ続けています。

農畜産業の”縁の下の力持ち”

「通常の仕事以外で『うちのジャガイモを運んでくれない?』とか直接仕事をもらえるっていうのが、すごい良いつながりなんじゃないかなって。それだけみんな信用してくれてるんだなと思ってる」

「地域に近い会社でありたい」と、楠元さんは言葉に力を込めます。第一次産業が主産業である錦江町にとって、運送業はかけがえのない”縁の下の力持ち”な存在です。人の暮らしに不可欠な運送業ですが、コロナや世界情勢の不安定さが陰を落とす状況にあります。それでも、絶えず仕事があるのは町の畜産農家の皆さんのおかげだと楠元さんは続けます。

「うちは農畜産物を主に運ばせてもらってるから。農家さんたちがいるおかげで仕事も成り立ってるからね。一年を通してお茶を運ばせてもらって、肥料とか飼料を下ろせるっていうのがあるよね。コロナとか世界情勢が悪くて困ってる会社がたくさんある中で、うちもコロナの影響を受けてお茶が運べなかったりもした時期はあったけど、途切れなく仕事があるから、このご時世で本当ちょっとの量でも運ばせてもらえることがありがたいと思ってる」

そして、第一次産業に従事する方へはもちろん、幼い頃からお世話になっている地域の方々へ感謝しているからこそ仕事に張り合いが出ると教えてくださいました。

「地域の人たちには小さい頃から可愛がってもらって。運転をはじめた頃は地域の人たちから『この前⚪︎⚪︎で走ってたでしょ』って、見てくれるのが嬉しかった。遊びに行ったらいつも『なんか食べていかんか』って言ってくれるおばちゃんもいるし、農業してる後輩とはよくごはん食べに行ったりもするね。いつもお世話になってますって言いたい」

人の生活に一番近い仕事

「空、海とか物流で生活に1番近いところをやってるのが陸送で、その中でも迅速に荷物を届けられるのはトラックの輸送なんだけど。ということは、人の生活と1番近いところで仕事をしてる。人々の生活を支える重要なところにいる」

オンラインショッピングやスーパーの宅配サービスを思えば、物流は人の暮らしにかなり身近な産業です。生活に欠かせない社会インフラの一部だと思うと、運送という仕事の重みを感じます。真夜中の運転や積み込みなど力仕事が多いとされるこの仕事ですが、楠元さんは誇りを持って取り組んでいるといいます。

「20〜30キロの荷物をトラックに汗かきながら積んで、腰も肩も痛くなったりするし、おまけに夜中から走ってみたり。そういうのはしょっちゅうあるけど…。それは逆に、人が仕事しない時間で仕事して、自分の自信になってるというか。 この時間だから人が見ない景色を見れてるんだって思う。それと共に、マニアックなんだけど、トラックの重厚感だったりとか、音を楽しみながら走ってる」

「好きな仕事をさせてもらえることがありがたい」と楠元さん。トラックの大型運転手は自分自身を成長させてくれる天職だとお話してくださいました。これからも地域の方々へ感謝の気持ちを忘れず、大好きな大型トラックで錦江町の農畜産業を支える日々が続きます。

「トラックがすごい好きだからできると思う。青春時代の全ての時間を費やしてきたからずっと続けていきたいし、それだけ思い入れもあるからね。でも、まだ自分の中では何かが足りないと思ってるから、日々荷物の積み方だったり、運転はうまくなりたいってずっと思ってる。これからも相変わらずトラックに没頭して走りまわってるかなぁ」


◎編集後記◎
日々お世話になっている運送業ですが、全くと言っていいほど物流の世界を知らなかったので、楠元さんの「人の生活と1番近いところで仕事をしてる」という言葉に関心しました。運送の仕事がなければ、日々の衣食住も医療も成り立たない。当たり前のことかもしれませんが、ライフラインを担う大事な仕事がこんなにも身近にあることを実感して驚きました。運送業に限らず、陰ながら生活基盤を整える仕事をしている方々への感謝を忘れずにいようと反省しました。